千葉県の農林水産業の取り組みに関して質疑しました
令和5年12月定例千葉県議会・一般質問(12月5日)その2
2024年01月10日 公開
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12月5日、千葉県議会12月定例県議会において、安藤じゅん子が一般質問に登壇しました。
本稿では、千葉県の農林水産物についての質疑をお届けします。
黒アヒージョを千葉県の代表的なご当地グルメに
千葉県では、「黒アヒージョ」を新しいご当地グルメとして提案しています。
この料理は、オリーブオイル、赤唐辛子、ニンニクのアヒージョベースに、隠し味として千葉県にゆかりの深い調味料である醤油を加え、県内の多様な食材を四季折々で味わえるお料理です。私も自宅で黒アヒージョを作り、家族と食べましたが、洋と和の融合に新鮮味を感じました。
ぜひとも、「黒アヒージョ」を千葉県のご当地グルメとして、県内の飲食店で食べられる名物料理としていただきたいと思います。
豊かな食材の宝庫である千葉県の「黒アヒージョ」を通して、県民や観光客など多くの方々に親しみを覚え、楽しんでいただきたいと思います。
- 安藤じゅん子の質問
- 県内の農林水産物を活用できる黒アヒージョの取組について、どう評価しているのか。
- 答弁(農林水産部長)
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若い世代に料理を通じて千葉県の魅力を発信するため、昨年度から多彩な県産農林水産物を堪能できるアヒージョに、千葉県にゆかりの深い醤油を加えた新しいご当地グルメ「黒アヒージョ」の普及・定着に取り組んでいます。
昨年度は、料理コンテストやフェアを実施したところ、和・洋・中の幅広い店舗の参加があり、SNSやメディアで広く取り上げられたことにより、飲食店でのメニュー化や食品会社によるコラボ商品の開発に繋がっています。
また、今年度、キャンプ場で開催した調理体験会の参加者やSNSでは「千葉の野菜を覚えながら楽しく作れた」「また違う食材を入れてやってみたい」などの声があり、特に若い世代に対する県産農林水産物の魅力発信の効果があったものと考えています。
- 安藤じゅん子の質問
- 黒アヒージョの一層の普及に向けて、今後、どのように取り組むのか。
- 答弁(熊谷俊人知事)
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多彩な県産農林水産物を活用できる黒アヒージョを一層普及させるために、今年度からは、民間企業や関係団体の方々の自主的な取組を後押しし、気運醸成を図るため、新たにアンバサダー制度を立ち上げ、官民一体となった取組を進めていくこととしました。
また、黒アヒージョを提供する飲食店等の拡大に向けて、来年1月には、「黒アヒージョフェア」や「料理コンテスト」を開催するとともに、フェアを盛り上げるため、若者に人気のアニメとコラボしたプレゼント企画なども予定しています。
本取組は、若手職員の提案から始まったものであり、これを実のあるものにしていくため、引き続き、県産農林水産物を堪能できる黒アヒージョを、より多くの人々に楽しんでいただけるよう、飲食店や宿泊施設、企業や関係団体と連携し、さらなる普及拡大に取り組んでまいります。
福島のアルプス処理水の海洋放出による影響から水産業を守る取り組みを
2015年8月、漁業関係者の理解なしにいかなる処分もしないと約束してから8年。福島県産水産物の水揚量が震災前の20%近くに回復してきた今年8月からはじまった処理水放出は、国が当初想定していなかった中国の禁輸措置によって、これまで取引のあった北海道の養殖ホタテなど含めて日本水産業に大きな被害をもたらしています。
本県水産物は、3.11以降、中国に輸出していませんが、これまで本県水産物の取引があった香港・マカオが、処理水放出を受けて、新たに、禁輸措置を行ったことから、本県水産業にも影響が出ているとの声を聞いています。
さらにロシアも中国に同調するにいたり、禁輸措置をとっていない韓国、台湾などへの輸出も減少に転じています。被害想定を上回る深刻な影響に一刻の猶予もないことはご案内のとおりです。
3回目の海洋放出が完了したのと同じ日に、東電が、風評被害の賠償を求める事業者に対し、統計データ等に基づいて、被害の有無や賠償額を決め、提示した金額で双方の合意によって賠償金を支払うスキームの賠償請求書の送付を始めたと聞きます。処理水放出は、向こう30年間続く見通しです。
本県水産業を守る観点から、県としてのこれまでの取り組みと、関係機関との連携や今後の主体的な支援に係る取組が気になるところです。
- 安藤じゅん子の質問
- アルプス処理水の海洋放出に伴う県内水産業への影響はどうか。
- 答弁(農林水産部長)
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県では、県内の漁業関係者から、輸出規制や風評の影響等について定期的に聞き取り調査を行っており、その中で、一部の関係者からは、「価格の下落などの影響が出ている」との話を伺っています。
具体的には、輸出向けの需要が高いクロアワビは、主産地の価格が1キログラム当たり2万円台から1万円台に下落し、また銚子地区のナマコ漁は、買受人から輸入規制により買い控えせざるを得ないとの連絡があったため、操業を中止しているとのことです。
また、一部の輸出事業者からは、取引に影響が出ているとの情報もあり、引き続き、県産水産物の安全性を発信するとともに、影響を受けた関係者が国からの
支援を確実に受けられるよう、県漁連等とも連携して対応してまいります。
鳥インフルエンザ対策として分割管理導入希望養鶏農家に寄り添う取り組みを
今シーズン、すでに佐賀県、茨城県、埼玉県の農場で高病原性鳥インフルエンザが発生しています。
千葉県では、11月20日に今季初となる鳥インフルが野鳥のふんから確認されました。県のモニタリング調査によるもので、付近の農場への迅速な立入検査と毎日報告で、今日現在、農場での発生は食い止められています。
しかし、一旦鳥インフルが発生するとその被害は実に甚大であり、令和4年度、本県の鳥インフル発生件数は6件。殺処分数は約63万羽にも及びました。
農水省では、令和4年度シーズンの高病原性鳥インフルエンザの全国的な発生を踏まえ、飼養衛生管理者による飼養衛生管理の徹底を継続しつつ、殺処分数の低減を図る生産者が活用できるよう、施設及び飼養管理を完全に分けることにより農場を複数に分割し、別農場として取り扱う「農場の分割管理」を飼養衛生管理上の事項の一つとして位置づけるため、飼養衛生管理指導等指針の一部変更を行いました。
分割管理は殺処分の対象を限定できるメリットがある一方で、導入には初期費用がかかり、スケールメリットが生かせなくなる恐れもあるとありますが、先行事例を参考に、県内の分割管理導入希望養鶏農家に寄り添う取り組みを期待しています。
- 安藤じゅん子の質問
- 高病原性鳥インフルエンザ対策として、養鶏農場における分割管理の県内の取組状況はどうか。
- 答弁(農林水産部長)
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県では、令和2年度の大規模農場での高病原性鳥インフルエンザ発生を受けて、国に対し限定的な殺処分について要望をしてきたところ、本年9月、国において、分割管理に関するマニュアルが策定されました。
これを受け、県内の2つの養鶏場が分割管理の導入を希望しており、現在、人や車両の動線などについて農林水産省と調整中です。分割管理が実現した場合には、別々の農場として扱われることから、高病原性鳥インフルエンザ発生時に、限定的な殺処分が可能となります。
引き続き、県内の養鶏農家に対し、飼養衛生管理基準の徹底を指導するなど、発生予防に万全を期してまいります。