葛飾区の特別支援教育の今
葛飾区議会民進党タウンミーティング 参加レポートその2
2016年12月20日 公開
教育 児童福祉 発達障害 安藤じゅん子の気づき 後援会レポート
こんにちは、安藤じゅん子後援会の凪越怜(ペンネーム)です。
前回に引き続き、葛飾区議会民進党タウンミーティング「発達障害を知ろう~特別支援教育の今」の参加レポートの第2弾になります。
葛飾区教育委員会学校教育担当部長平沢安正氏よりお話しいただいた、葛飾区の特別支援教育の現状と今後の取り組み・支援体制の計画など具体的なモデルケースについてです。
以下本文は配布された東京都葛飾区教育委員会指導室の資料をもとにまとめたものです。
特別支援教室モデル事業が平成29年4月からスタート
東京都教育委員会は東京都特別支援教育推進三次実施計画(平成22年11月)において、全ての小・中学校に「特別支援教室」を配置し、専門性の高い教員が巡回指導することなどによる在籍校・在籍学級における支援体制の整備について示しました。これに基づき、葛飾区教育委員会は、平成28年度より全ての小学校において特別支援級を導入しました。
平成28年度から「情緒障害通級教室」から「特別支援教室」(高機能自閉症・アスペルガー症候群、注意欠如多動性障害・学習障害等の児童が在籍する支援教室)に名称が変更になりました。
東京都は、平成30年より平成33年にかけて中学校全校に特別支援級を配置完了する予定です。それに先駆けて、中学校における特別支援教室モデル事業として、葛飾区が指定を受けることになりました。平成29年4月に実施が開始となりなりますが、中心となるモデル校の高砂中学校・堀切中学校2校で拠点とすることが決定しています。
通級指導教員が巡回することで充実した指導体制に
中学校全校に特別支援級を配置することによって、体制がどのように変わるのでしょうか?
今回のモデル事業では、情緒障害等の通級教室指導学級を担当する教員が、各中学校をモデル事業として巡回し、高砂中学校・堀切中学校における通級指導学級も行うこととしています。
それまでは、通級教室指導学級が設置されている学校まで、生徒が在籍校より通級する必要がありました。そこには以下のような課題がありました。
現在の他校通級における主な課題
- 他の学校での指導の為、在籍学級担と通級指導学級の担当教員の緊密な連携が図りにくい
- 他校の移動中は在籍学級の授業が受けられない(※授業は受けてはいないが、受けたことなる→欠席扱いにならない)
- 保護者の送迎が必須で、交通費がかかることがある(※申請すれば支援対象となる場合がある)
すべての学校に特別支援級を設置することで、以下のような効果が期待されています。
特別支援教室導入により期待される効果
- より多くの発達障害等の児童が、特別な指導を受けられる
- 他校に移動しない為、在籍学級の授業を普通どおりに受けることができる
- 在籍学級担任と巡回指導教員の連携が密に行えるようになるため、より生徒に対して充実した指導が在籍学級で実施できるようになる
- 保護者と在籍学級担任、巡回指導教員がコミュニケーションを密に行うことができ、生徒に対する指導内容や支援内容などの必要な情報理解が得られる
- 送迎を行う保護者の負担軽減になる
まとめ 学級担任の理解と対応がカギ
課題は対象になる児童や家族にとっても、教育機関においても山積みですが、特別支援学級の増設は素晴らしいと思います。
特別支援学級では、個々に合わせた内容のトレーニングや指導が行われ、日常に応用できるよう支援が行われています。しかしながら、在籍学級に戻ればクラスの大人数の中の一人にすぎないため、学級担任や周りの支援が不可欠です。
一人の学級担任が、1クラス30名程の生徒・児童を統括して学習や集団行動などを指導していくのは本当に大変だと思いますし、小学校は担任2人制が児童や教員どちらにとっても理想ではあります。もし実現すれば、保護者も安心できます。(→人員配置など不可能と思われますが…)
また特別支援学級担当教員と学級担任との連携が不可欠ですが、該当生徒・児童にとっては学級担任教員の対応がかなり影響します。中学生である場合は思春期など成長の過程も重なり、より複雑になってくることもあり得ます。
きちんと対応してくれる学級担任であれば、特別支援学級に通っている生徒・児童が学んだSTT(ソーシャルスキルトレーニング)などを実際に活用でき、身についていきます。そうでない学級担任の場合、認識の甘さやその時々のフォローがきちんとなされないなど、生徒・児童が特別支援学級で学んだことを実践できず、重要な「体験」ができないということが、推測されます。
何のための特別支援学級・通級学級なのか、何のための支援なのかという結果になってしまうかもしれません。
日本の発達障害児の支援体制や教育機関での対応は海外に比べるとかなり遅れています。
また、近年においては随分少なくなりましたが、「右へならえ」にしたいがために、子ども本来の個性や得意分野を伸ばしてあげるという教育に疎いような気がします。
海外では発達障害児の早期支援・教育はずいぶん前から取り組んでいて、得意な分野(ギフテッドやサバンなど)の促進と苦手な分野のフォローなど、教育制度や環境作りなどを行っている国はたくさんあります。先進国である日本なのですから、発達障害児の支援について良い体制を国を挙げて構築してほしいと願っています。