第18期自治政策特別講座「地方財政と防災・介護など緊急課題に備える」

自治政策特別講座レポート

2016年09月6日  公開

        安藤じゅん子の気づき


2016年8月22・23日に開催された自治体議会政策学会主催、第18期 自治政策特別講座「地方財政と防災・介護など緊急課題に備える」に参加しました。本稿では、講座より2つの講義をピックアップしてレポートしたいと思います。

真の地方自治を進めるにはまず税制改革が必要

  • テーマ:自治体と地方税制の諸課題
    講 師:池上岳彦 立教大学経済学部教授・東京都税制調査会会長

地方分権を目指すならば地方税の充実が必要不可欠です。各自治体の裁量で動かせる財源がなければ、それぞれの自治体が抱える各課題も解決できません。

地方交付税を改革し、課税自主性の拡大を図ることが必要です。また、国と地方の経費の分担などについても、国と地方が協議していかなけらばなりません。

講義では、根拠資料を多数用いた解説や、東京都税制調査会会長としてのエピソード、豊島区税制調査会における税制を武器とした放置自転車対策のエピソードなど、具体的かつ分かりやすい説明で、多くの学びと気づきを得ることができました。

自治体は高齢者の移住に対する実態の把握と対策が必要

  • テーマ:介護移住の実態とこれからの高齢者政策
    講 師:中澤克佳 東洋大学経済学部教授

超高齢化社会を迎える日本。とりわけ、介護などが必要になってくる75歳以上の「後期高齢者」が増加しています。
後期高齢者は、子どもが居住する近郊に移住したり、介護が受けられる地域へ移住するという傾向が中澤先生の調査で明らかになっています。

ところが、各自治体は、高齢者の移動について注意を払っていなかったり、データを集計していないところが多いのが実情です。多くの高齢者が流入することで、施設不足、人手不足、介護サービスの低下といった事態が起こりえるため、各自治体はその動向を把握しておく必要があります。

未婚、非婚、離婚、高齢化などにより従来の家族、特に高齢者のいる世帯は様変わりしています。今や老老介護がマジョリティです。
高齢者に対するケアは、自治体としての取り組みも必要ですが、もっと狭い地域のコミュニティでの助け合いも重要になってくるのではないでしょうか?

おひとりさまは、人のつながりが財産という価値をさらに浸透させていくことも必要だと思いました。

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