開かれた教育委員会を目指して
4月28日教育行政基礎講座 研修結果報告1
2016年05月11日 公開
さる、4月28日、一般社団法人家庭教育支援センターペアレンツキャンプの講演会に参加してきました。
講師は不登校支援や教育委員会改革に実績のある水野達朗さん。『新たに始まった新教育員会制度とは』『「小中一貫教育」と「チーム学校」の要点と解説』の二つの講演を拝聴しました。そのレポートと安藤じゅん子の気づきをまとめたいと思います。
子どもを持つ親の立場で、教育委員会を考えると、何をやっているのかとても不透明だと思います。もっと市民に開かれた教育委員会であるべきだと安藤じゅん子は考えています。
新たに始まった新教育委員会制度とは 組織論と現実論
教育委員会制度の歴史のまとめ
戦前の日本の教育制度は国家による統制が強いものでした。戦後、米国教育使節団の報告を受け、日本の教育制度の抜本的な改革が進められた中でスタートしたのが、教育委員会制度です。
制度趣旨は、政治的中立性、継続性・安定性の確保、地域住民の意向反映です。また制度の特徴は首長からの独立性、合議制、レイマンコントロールと呼ばれる住民による意思決定です。
教育委員会制度開始後も、委員会のあり方をめぐり、制度改正が繰り返されてきました。平成27年度の地教行法の改正により、教育委員会制度が大幅に変わりましたが、教育委員会は引き続き教育行政の執行機関として意義や特性を維持しています。
新教育委員会制度の4つのポイント
- 教育委員長と教育長を一本化した新「教育長」の設置
- 教育長へのチェック機能の強化と会議の透明化
- すべての地方自治体に「総合教育会議」を設置
- 教育に関する「大綱」を首長が策定
新教育長は首長が任命し、三年任期常勤となります。これにより迅速な情報提供や会議の招集が可能となり、責任の所在が明確化されました。また総合教育会議にて策定された大綱により地方自治体としての教育政策に関する方向性が明確化されました。
教育委員会の現状(平成25年度教育行政調査より)
- 構成する委員数
- 1819市町村のうち90%が5人体制。
地域事情に関わらず、5人が適正なのか、疑問なところです。 - 構成する委員の年齢構成、男女比
- 平均は60歳前後、女性委員は、平成17年度調査時点で3割弱であったものが4割に増加
- 委員の職業構成
- 市町村では35.4%、都道府県では12%が、定年退職された等の無職の方。
- 年間傍聴者
- 市町村では673.4%が傍聴0人、平均傍聴者数は3.7人。都道府県の平均傍聴者数は64.9人。
松戸市近隣の教育委員会の傍聴者数について会議録や電話で調査した結果
月一回程度開催されている教育委員会会議の傍聴者数【平成27年度実績】
- 松戸市:0~7人(年間?)
- 野田市:0~4人(年間4人)
- 市川市:0~1人(年間2人)
- 柏市:0~2人(年間10人)
- 我孫子市:1~6人(年間?人)
上記のように、傍聴者すうがほとんどいないのが現状です。より市民に開かれた教育委員会にするためには、運営上の工夫が必要ではないでしょうか?
大東市教育委員をつとめる水野氏は以下のような取り組みを実践したそうです。
- 仕事をしている方も傍聴できるように夜間開催を実施
- 当日に資料を渡すのではなく、事前に資料を配布
- 委員のデスクを委員会内に設置し、委員が活動できる環境を作る 等
皆さんのお住まいの地域の教育委員会はいかがでしょうか。
開催日時は? 場所は? その広報は? 適切でしょうか?
議案に興味がわいても、仕事をしていては、なかなか昼間には傍聴にはいけないですよね。私たちの街も住民に開かれた教育行政であるために必要な工夫がなされているのか、考えてみなければいけません。
選任に関する課題
議会の承認を必要としながらも委員会等で審議されずに決定されていく教育委員人事。
地域割や会派バランスの慣行、教育や学校関係者が多く、子育て世代の委員が少ない、委員会業務と両立が難しいなど克服すべき課題が満載です。
教育委員の平均報酬(月額)
- 都道府県 203,630円
- 指定都市 239,567円
- 特別区 241,473円
- 市 61,073円
- 町村 45,081円
こうした中でも、佐賀県武雄市は、条例により教育委員を5名から10名に増員し、新規増の過半数が保護者、年齢構成も多様な構成を実現しています。
安藤じゅん子は教育関係者だけでなく、子育て世代の声が届く教育委員会にするべきだと考えます。