千葉県立船橋高校視察レポート
2016年09月28日 公開
民進党幹事長で前総理大臣野田佳彦代議士の母校である県立船橋高校へインターン生とともに視察してきました。
県立船橋高校は、県内広域から生徒が通う立地を活かし、世界で通用する人材育成の場としての学校運営を進める学校です。
人間力を高める授業をプライドをもって教師と生徒が実現している印象を受けました。
拝見した授業では、電位差の実験などを行っていました。
データ、結果ありきではなく、実験を通して誤差があること、再現、検証を行うことで、生徒自身が学び合う力をその授業ごとに体得してい様子が見て取れました。発表は、まるで専門書の1ページを見ているような研究成果です。
船高生のこれからが、ますます楽しみな視察となりました。
彼ら彼女らの力が存分に発揮される環境整備に尽力してまいりたいと考えています。
以下、一緒に視察した、インターン生の感想を紹介したいと思います。
はじめに
進学指導重点校であり、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校である県立船橋高等学校ではどのような取り組みがどのような理念の下行われているのか、実際に指導を行っていらっしゃる先生方からお話を伺い、授業風景を見学させて頂いた。
学校の概要について
全日制と定時制があり、全日制については、県内屈指の進学校であり、千葉県の進学指導重点校に指定されている。ほぼ100%の進学率はその期待に十分応えられる実績であろう。
また、不登校の生徒は平成28年度現在0名で、サポート体制の充実が伺える。
近年、特にスマートフォンによるネット依存症に対する警戒をされているらしく、検討会議も開かれるそうだ。ただ、スマートフォンを例外なく禁止にするのではなく、授業中に有効活用できないか(例、顕微鏡のレンズからスマートフォンで撮影し、観察スケッチの手助けとする。等)模索されている。
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)について
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)とは、将来の国際的な科学技術系人材を育成することを目指し、文部科学省が実施するものである。指定期間は5年間であり、県立船橋高等学校は、平成21年度からの1期目、平成26年度からの2期目に指定されており、視察に伺った際は2期目の3年目であった。
県立船橋高等学校におけるSSHは、研究テーマを「探求心と探求力を確実に育成するカリキュラムとプログラムの開発~探求力で未来を拓け!~」であるそうだ。と、いうのも一期目にSSHの活動を行った際、生徒に研究の機会と場を与えれば、自分でテーマを設定し、ある程度の所までは進み、それをサポートすればよいと考えていたところ、まずテーマの設定からつまずいてしまう子が多かったため、まずは「探求心と探求力」を高めるところから目指すことにしたそうだ。
具体的には、理数科の生徒は一年次、先生の導きによって研究や実習の経験を重ねさせ、自らテーマを定めるのは二年次にしたこと。
普通科は希望者には理数科と同じ機会を与え、その他の子たちには規模の小さな研究をさせることである。
また、年15回のSS講座と呼ばれる、外部講師を招いたり、外部の施設に見学へでかけたりする講座も開いている。また、学校の性質上、研究に評価をしなければならないが、どの部分をどのように評価すべきか、明確な基準を定めることは難しく、依然として模索中であるそうだ。
さらに、二期目ということで、高校三年間の間のみならず、卒業後も継続して研究をし、それを評価する中・長期的スパンを目指す動きもあるそうだ。
そして、研究の成果を発表する場として、台湾研修が実施されている。生徒たちは研修を経て、英語で台湾の学生らと研究成果を発表しあう。また、つくばScience Edge2016英語ポスターセッション部門で2位を受賞、平成27年度 第7回 千葉県高等学校課題研究発表会で学校代表口頭発表の部で優秀賞を受賞した生徒もいるという。
SSH重点枠としては、「千葉サイエンススクールネット」をとりまとめ、連携高校(32校)連携大学(3校)と「千葉サイエンススクールフェスティバル」を開いたりしている。県立船橋高校からは、自然科学系の部活動が参加し、小中学生に実験の面白さを伝え、連携校の生徒と研究成果を発表しあい、自分の研究を高めることにつなげている。
「千葉サイエンススクールフェスティバル」の今後の課題は、近年増加傾向にある、似たような催しとの差別化だそうだ。
おわりに(授業を見学して)
見学させていただいた授業では生徒の皆さんは常に集中し、主体的に学んでいるという印象が強かった。優秀な生徒が集まっているからか、授業内容のレベルは高く、スピードも速かった。
だが、ただレベルの高い授業を素早く行うのではなく、先生方がアクティブラーニングを意識しているのがよくわかった。進学校でありながら、SSHという、直接には受験対策にならない授業を通して、「知の創造、価値の創造」を目指しているとおっしゃっていた校長先生の意志が授業にも反映されているように感じた。
安藤事務所 柳井友紀菜(國學院大学 2年)