命よりも大事な子どもを預ける幼稚園選びのポイント
立石美津子の子育てアドバイス vol.06
2016年09月13日 公開
幼稚園の願書受付は11月です。来年、4月から「どの幼稚園に通わせようか」と悩んでいるママも多いですよね。あなたが選ぼうとしている幼稚園、命よりも大事な子どもの預け先として果たして大丈夫でしょうか。
毎日通う幼稚園って、子どもが一日の大半を過ごす場所になりますから、とても大事な場所です。選ぶ基準を“ホームページの美しさ”“制服や通園かばんのオシャレ度” “遊具の充実度” “スクールバスや給食の有無”など優先順位として高くないものを“大事なポイント”と錯覚してしまっていませんか?
大事なポイントは3つ
- (1)安全であるかどうか
- (2)整理整頓、掃除きちんとされているか
- (3)先生の質
具体的にお話しします。
(1)安全であるかどうか
- 子どもが園の外に勝手に出て行かないように門の施錠をしているか
- 不審者のチェックをしているか。モニターで訪問者の顔を確認しているか
- 避難訓練を頻繁にやっているか
- 大地震のとき、耐えられる園舎か。耐震工事をしてあるか
- 食物アレルギーの子どもに対応しているか
(2)掃除が行き届いているかどうか
埃がないか
ホームページやパンフレット、ポスターに“思いやりの心・優しい子を育てる“と立派な教育理念が掲げられていることがあります。
でも、見学に行ってみると…
- 段ボールが玄関に山積みである。
- 11月なのに10月のカレンダーが貼ってある
- 昨年のお正月の干支の置物がまだ置いてある
- 来客用スリッパが湿っていて臭い
- 玄関の隅に砂埃が残っている
- 掲示物を貼り付けているテープが黄ばんでいる
- トイレの換気扇が埃まみれになっている。
最後のトイレ、換気扇に埃がびっしり付いたままの園は“推して知るべし”全体的に掃除が行き届いていないはずです。冷暖房の見えないフィルターも埃まみれになったままかもしれません。喘息がある子は特に要注意です。
こんな状況ですとおそらく保育もきめ細かくはありません。園舎が古かろうが新しかろうが、関係ないのです。リフォームしたり、開園して年月が経っておらず一見綺麗でも惑わされないようにしましょう。
ブロークンウインドウ現象(壊れ窓理論)
窓が壊れていたり、落書きをそのままにしていると“その地域に誰も注意を払っていない”ことになり、治安が悪くなっていくと言われています。
毎日過ごす環境って大事です。散らかっている園、埃まみれの園にいると子どもの心も次第に荒れていきます。
それから、また、園全体は綺麗に掃除していても保育室内の掃除はたいてい担任に任されています。保育室のピアノの上にうっすら埃が積もっていないか観察してください。汚れた雑巾が丸まったままほっておかれていないか確認してください。
4月からの担任は今の段階ではわからないので、見学した担任に我が子を預けることになるとは限りません。しかし、掃除をしない職員をそのまま放っていて、経営者として教育も躾もしない園長の意識にも責任者として問題があるわけですから、そんな園は選ばない方が賢明かもしれません。
(4)先生の質
何といっても“教育は人なり”です。職員の先生の質の高さは重要ポイントです。
これらはNGです
- 先生が子どもに対して笑顔で接していない
- 先生、自らが挨拶をきちんとできない、電話のかけ方もとり方も不愛想である
- 叱ってばかりいる
- 特定の子どもだけを相手にしている
- 出来る子どもと出来ない子どもを比べて、出来ない子どもを追い立てている
その他のチェックポイント
親に嬉しい条件に振り回されない
園児獲得は園にとって大事なことです。そして、それを選択するのは親。ですから保護者が喜ぶようなサービスを整えておくのは園児募集をする園側にとっては重要なことです。
例えばこんな魅力的なサービスを準備します。
- 園の送迎バスがある
- 給食完備
- 保護者会などでの保護者の負担が少ない、役員を保護者から選ぶことなく園側が全部やってくれる
- 夏休み、お正月休みも、夕方以降も預かり保育がある
これを別の面から見て見ると…
- 園バスがあるため直接、担任に家庭での様子を伝え、夕方園での子どもの様子を聞くことができない。
- 小学校に行けば毎日給食。ママの手作り弁当を食べることができるのは遠足や運動会くらい。
- 園と親と一緒になって子どもの行事を作っていく楽しみがない。
- 年に数回の長い休みでも家で過ごすことが出来ない。
もちろん、このようなサービスを受け、子育てのストレスから解放され息抜きすることは必要です。でも、“親が楽できるかどうか”だけの観点だけで幼稚園選びをするのは止めましょうね。
親の声を聞くシステムがあるか
子どもを預けっぱなしではなく、親と一緒に子育てしていく姿勢があるかどうかチェックしましょう。
- お便り帳があるか
- ホームページに保護者の声を投書できる欄がある
- 園便り、クラス便りが年何回発行されているか
- 園長(=経営者)に気軽に話しかけられる雰囲気があるか。園長不在ではないか
- 保護者面談を年に何回やってくれるか
入園してみても、子どものことをなかなか相談しづらい、様子を聞く手段がないと親の不安は高まってしまいます。
まとめ
大事な我が子の3年間を託す幼稚園の選び方は非常に重要です。賢いママになって検討してみてくださいね。
立石美津子(たていし みつこ)
子育て本著者、講演家。聖心女子大卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。自閉症児の母。著書は『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など多数