写真やツールを使って楽してしつけよう
立石美津子の子育てアドバイス vol.03
2016年06月15日 公開
“百聞は一見に如かず”の諺通り、何回も何回も口を酸っぱくして耳に訴えて注意するよりも、目で見せて躾けた方が楽なことって沢山あるんですよ。
こんにちは。『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子です。
毎日たくさんの言葉を子どもにかけていますが、考えてみたら言葉って口から出た瞬間に消えてしまいますよね。もし、言葉が漫画の吹き出しのように文章になってずっとそこに留まっていてくれたら・・・またはイラスト、写真だったら・・・・わかりやすいかもしれません。
実は目で見たほうが子どもは頭でイメージでき行動に移しやすいんですよ。しかも、ママがうるさく言わなくてもそのツールがママの役割をしてくれますから、随分と親も楽ができるんです!
いくつかご紹介します。
朝の忙しい時間
朝は幼稚園や保育園の登園時刻が決まっていますので慌ただしいですよね。
“お尻の時刻”が決まっていますから、起床時から「早く起きなさい!」「早く着替えなさい!」「早く食べなさい!」「早く歯磨きしなさい!」「早く靴を履きなさい!」と連呼しているお母さんも多いのではないでしょうか。
朝起きるのは目覚まし時計に任せてしまいましょう。ついでに時計も読めるようになります。
それから、次のように学校の時間割のように貼っておくのもわかりやすいです。イラストではなく子ども自身がその行動をしている写真を貼っておくと尚、効果的ですよ。
家のルール
家のルールもポスターのようにこうして目てわかるように貼っておくのもよいです。
食事中、音を立てて食べて行儀が悪い
食事中、口を開けたまま食べるとピチャ、ピチャと音がしてお行儀が悪いですよね。唇と唇を閉じて口をモグモグ食べると音は出ません。
実は私も息子にこれを躾けるのに苦労していました。「口を閉じなさい」と言ったら口を”への字“に固く結んだまま食事が進みませんでした。また「モグモグしなさい」と注意したら今度は声で「モグモグ」と声を出してしまい口から食べ物が飛び出てしまう状態でした。
そこで本人が口を閉じている瞬間を写真にとってこれを立て看板のようにテーブルに置いておいたら一気に出来るようになりました。この方が断然、わかりやすかったみたいです。
スマホで動画にして見せてもいいかもしれません。
お弁当の準備
幼稚園で年少児のランチタイムに「お弁当の準備をしましょう」と声をかけても、どうしたらいいかわからない園児が多いです。
大人は「これくらいわかるだろう」と思っているかもしれませんが、今まで家でしか食事をしていない子どもにとって“ナプキンを広げる→その上の真ん中にお弁当箱を置く→手前に箸置きを置く”の一連の作業はわからないのは当然です。
ですから、工夫が出来る先生はこのように写真を見せて「同じように並べてください」と教えているんですよ。
道具の準備
私は長年、幼児教室で子ども達を教えていますがお弁当箱と同じで「道具を綺麗に並べましょう」と指示を出しても、下敷、ノート、筆箱を横一列やあるいは縦一列に綺麗に並べてしまう子どもが必ずいました。でもこれは私の指示が良くなかったのです。そこで「大きい者から下から順に重ねましょう」と言ってみました。これまたわかりにくかったようで出来ない子が数人いました。
そこで、実物を順に重ねて見せて「これと同じように重ねてください」と言い直したらみんな出来るようになりました。考えてみたらこの方がわかりやすいに決まっているのですが、つい「言えばわかるだろう」と勘違いしていました。
歯磨き
「綺麗になるまでしっかり磨きましょう」と言っても口の中が綺麗になったか確認は出来ませんし、どれくらいの時間磨けばいいのか子どもにはわかりません。そこでこんな風に我が家では洗面所にタイマーを貼ってあります。
これで1分30秒セットして「ピッピッピッと鳴るまで磨いていてね」としています。私が傍で付いていなくてもタイマーが指示してくれるので凄く楽です。砂時計でもいいですよ。
時計が読めない子どものために時間経過が目で見てわかる便利なアプリもたくさんでています。
靴を揃える
靴をなかなか揃えないとき「きちんとしなさい」では出来ません。玄関に足型をこのように貼っておくと自然にここに置きたくなるようです。また、左右も間違えて履くことはないので一石二鳥ですよ。
玩具をもとあった場所に片付ける
元あった場所、つまり指定席を目で見てわかるようにしておきましょう。しまうべき玩具を写真やイラストで貼っておくとわかりやすいです。
ブロックのレゴの入れ物は中に入っているものが箱の側面に写真で貼ってありますので、そこにしまう子どもも多いです。これをすべての玩具に応用するのです。
静かにさせる
車やバスの中で騒いだとき「静かにしなさい」とか「もう少し小さい声で喋りなさい」と言ってもボリュームの加減がわかりません。こんなアプリがあります。
ちょっと騒がしいお子さんをお持ちのパパ・ママのために作られたアプリです。
タイマーをセットして、一定時間、静かにすることを親子で楽しくトレーニングしましょう。
このアプリではiPhone/iPadのマイク機能により音声レベルがリアルタイムに表示されます。もし音声レベルが限界値を超えたら、犬が怒って吠え出します。ちょっとドキドキですが、女の子のナビゲーターが励ましてくれるので、お子さんもきっと頑張れるはずです。
また、これを利用しなくても黙ってほしいときは「音量オフ」とか「音量ゼロ」と言っても通じることもあります。これは私が息子にやった方法ですがこんな風に手にバンドエードを貼っておき、スイッチオフ、オンのボタンに見立ててそこを押すと静かになりました。息子は自閉症児で視覚優位なのでこれは効果的でした。
触ってほしくないもの
障ってほしくないものに触れたときいちいち「触ってはダメ」と言うよりもこのようにバツ印を貼っておくのも効果的です。
トイレ
水を流すとき水遊び感覚で何度も流したり、トイレットペーパー長く使ってしまう子どもっていますよね。
そんなときはこのような貼り紙をしたり、トイレットペーパーで使ってほしい長さのものを壁に貼っておくと良いですよ。
正しい「掃除機のかけ方」を教える方法
小学生になったらお手伝いとしてお掃除もさせましょう。
掃除機をかけるとき四角い部屋を丸く掃いていたら部屋は綺麗にはなりません。肉眼で見えない埃を隅々まで綺麗にすることを子どもに理解させることはちょっとハードルが高いです。そんな時は“目に見える埃”を作りましょう。写真のように、色紙を小さく切って部屋中にばらまきましょう。
そのときは“隅まで”まいてくださいね。そして「掃除機でこの色紙を全部吸い取ってね」と言ってください。
最初からすぐにはできないかもしれませんが、何日か練習すると隅々まで綺麗に掃除機をかけられるようになります。
これが出来るようになったら「今日から色紙はないけれど目に見えない埃がたくさん床にはあるのよ。さあ、この部屋をピカピカにできるかな?」と言ってやらせてみましょう。
これで、“四角い部屋を丸くはく”やり方ではダメであることを徐々に理解します。
掃除後、ごみパックを開けて「ほら、こんなに吸い取ったね。上手に部屋の隅々まで掃除機かけられたね。上手になったね」と、集まった埃を実際に見せて褒めてやりましょう。
おまけ
おしっこをするとき男児の場合、あちらこちらに尿を飛ばすのでうちでは座っておしっこをするように躾けています。ドアを毎回開けて確認するのも面倒なのでこのような貼り紙をしています。座ってしているようです。
言葉だけではなく視覚で訴える
先生が授業で大事なことは板書したり、会議でもパワーポイントを使ったりしますよね。子どもの躾をするときも同じです。視覚に訴える工夫をしてみてくださいね。
立石美津子(たていし みつこ)
子育て本著者、講演家。聖心女子大卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。自閉症児の母。著書は『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など多数