担任との相性が悪かった場合(はずれ先生にあたったとき)どうしたらよい?

立石美津子の子育てアドバイス vol.14

2017年05月9日  公開

   立石美津子の子育てアドバイス 子育てコラム


今年度の担任について。気に入っていますか?そうではないですか?ママ達の保育園、幼稚園の送迎時、ファミレスのお茶の時間の話題は「今年度の担任の棚卸」ではないでしょうか。ちょっと希望に沿わなかった場合、3月末までどう過ごしたらよいのでしょうか?

保育園、幼稚園、小学校の担任発表、「今度の担任当たり!」と嬉しそうな人。「うちははずれちゃったわ~」残念がる人。でも、そもそも、先生に当たりはずれなんてあるのでしょうか。

そこで、今日は詳しく『はずれ先生にあたったときに読む本』の著者の立石美津子がお話します。

“はずれた”と思うのはどんなことですか?

私の周りのママ友に聞いたところ、「はずれた・・・」と思うのはザッとこんなことでした。

  • 4月から教師デビューした新人である。更に女性である。この間まで学生だった22歳
  • 40代後半のおばさん風先生
  • やたら厳しいという噂のある先生
  • やたら甘いという噂のある先生
  • 子どもとフレンドリー過ぎるお友達先生

でも、この不満を分析してみると「新人でもダメ。ベテランでもダメ」「厳しいのも嫌、甘いのも嫌」「先生面して上から目線もNG、お友達先生もNG」どっちへ転んだとしても満足しません。これでは先生も気の毒ですよね。

こんなときはちょっと見方を変えていましょう。

短所は長所

これを「フレームを替える」という意味で“リフレーミング”と言います。

新人である

何事にも一生懸命取り組んでくれる。初めてなので、予習、復習をしっかりして子どもたちの前に立つ。保育者や教師になって初めて担当する生徒、担任の一生の記憶に残るかも!

反対に経験があると自分の教育観の囚われて新しい物を取り入れる姿勢がなかったり、夕飯のメニューなど別のことを考えながら子どもの対応ができる変な技を持っている。


オバタリアン先生(おばさん先生)である

指導経験が豊富なので安心して子どもを預けられる


怒ってばかりいる。厳しい

しつけをしっかりしてくれる


甘い、お友だち先生で威厳がない

子どもの言うことに耳を傾けてくれる。親しみやすい先生


おおざっぱ

細かいことを言わず、のびのびさせてくれる


気がきかない

過保護や過干渉にならず、子どもが自立する


きめ細かく連絡帳を書いてくれない

連絡帳を書くひまがないくらい、子どもと関わることを優先に時間を使っている


親の意見をなかなか聞いてくれない

しっかりしたポリシーを持って指導していて、ブレない


何だか、良い先生に見えてきませんか?

よく、小学生を持つママが「今度の担任は宿題を多く出して嫌だ」と言っているのを耳にします。塾などの宿題もあり確かに大変ですよね。家庭での状況を話に行くことも必要かもしれません。

それはさておき、よく考えてみると担任にとって宿題の先には、採点という大変な作業が待ち受けています。宿題を出すということは、子どもたちのことを思っていなければできません。宿題を出さないということは、先生にとってはどれだけラクなことか。

学力は日々の積み重ねです。学力のベースを作る意味でも宿題は必要です。

「宿題を出す先生は、苦労をかって学力を定着させてくれているんだ」という見方をしてみてはいかがでしょうか?(これは噂の域ですが、「先生自身にまだ小さな子どもがいると、家に仕事を持ち帰ると大変なので、宿題を出さない傾向がある」と聞いたこともあります)

先生に対して絶対にやってはならないこと

こんな態度を絶対にしてはなりません

担任の悪口を子どもの前で言う

子どもにとって親の意見は絶対的なもの。例えば「あの先生は前の先生よりも指導力がない」と夫婦で会話しているのを耳にすれば、子どもは「そうなんだ、担任の○○先生は教え方が下手な先生なんだ」と思います。

そうなると、授業を受けていてもそのことが頭にあり「先生の話をしっかり聞こう」とか「先生を敬おう」とはならず、不信感を募らせるだけです。

先生だって感情を持った一人の人間ですから、そんな子どもの様子を見て「この子は可愛いな」とは正直思えません。こうなると一番の被害者は子どもです。

また、親は好ましくないと思っていても、子どもは先生のことが大好きかもしれません。担任はあくまでも子どもの先生です。子どもが先生とうまくいっていればそれでいいのではないでしょうか。


担任を飛び越えで話をする

それでも、先生に「これこれこうしてほしい」という要望があったとします。まず、最初は直接担任に相談しましょう。それでも埒が明かない場合は学年主任だったり、園長や校長先生に話をしましょう。

園に何も言わないまま保育課や教育委員会に訴える親がたまにいますが、これをすると、子どもが「あのモンスターペアレンツの親の子どもだ」の視線で見られます。

あなただって何かあったとき、その相手から直接ではなく、立場が上でその場にいかなった強い権限を持つ人から「あなたのこういうところが嫌だとクレームが出ているので、注意しましょう」と言われたら不愉快ですよね。「なぜ、最初に自分に言ってくれなかったんだ!」と思いますよね。

それと同じです。順番を間違えず、筋を通すことはとても大切なことです。


叩きのめす

相手が立ち直れないくらい叩きのめしてしまってスッキリするのは親だけです。翌日からのその親の子に対して「可愛い子」とは思えないでしょう。お子さんと日々接する存在が担任であることを忘れずに!人間関係を壊すようなことだけは避けましょう。


相手の言い分も聞かないで、親にとっての正論だけを押しつける

物事は、必ず両側の見方があります。あなたにとって?の対応でも何か事情があったのかもしれません。

例えば「○○君のことは叱らないのに、私が同じことをしたら先生は叱る。えこひいきしている」と子どもが家に帰って親に訴えたとしましょう。でも、担任は問題行動を起こす子どもに対してハードルを低くして、叱る基準を変えているのかもしれませんよ。

まず、相手の話を聞いて互いに歩み寄る姿勢を忘れずに。相手にもやむにやまれぬ事情もあることを忘れてはいけません。その配慮をみせるだけでも、先生との関係性は良くなっていくでしょう。

普段から心がけておくこと

担任に特に不満がなくても、要望があるときだけ「先生、うちの子には○○してください」と伝えても聞き入れてはもらえません。普段からやるべきことをきちんとしておきましょう。

  • 提出物を出す
  • 提出物の期日を守る
  • 連絡帳に「○○先生のお蔭で○○が出来るようになりました」とマメに感謝の気持ちを伝える。
  • 欠席、遅刻の連絡をきちんと入れる
  • 保護者会に参加する
  • 行事の手伝いを積極的にする

良好な人間関係があれば要望を聞き入れてくれます。

習い事の場合は担当の先生が嫌だったら、クラスを移動して親が先生を選ぶことができます。でも、幼稚園、保育園、小学校は嫌だからといってこれをすることは叶わず、転校するしかありません。

けれども、転校先で当たり先生に当たるとは何の保証もないわけです。それに担任は2年に一度くらいは変わります。一生、“あたり先生”が続くことなんて不可能ですよね。

中学生になると教科により先生が変わりますが、0歳から小学校6年生までは音楽など専門を抜かし国語、算数、体育、そして給食指導など、更に躾全般に至るまで全て同じ先生に指導を受けることになります。

子どもにとっては寝ている時間を抜かせば親よりも長い時間過ごす相手です。良好な関係を作らないと可哀想なのは子どもです。

どんな担任の先生であっても、うまく付き合っていけるかどうかは、こちらの捉え方と対応次第。姿勢を変えなくてはならないのはもしかして、親側なのかもしれませんね。


立石美津子(たていし みつこ)

子育て本著者、講演家。聖心女子大卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。自閉症児の母。著書は『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など多数

 立石美津子オフィシャルブログ

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