小1の壁を乗り越えるには

立石美津子の子育てアドバイス vol.12

2017年03月1日  公開

   立石美津子の子育てアドバイス 子育てコラム


小学校に入るとお勉強が始まり、子どもにとっては楽しく遊んでいた幼稚園、保育園時代からガラリと環境が変わります。そして、ママにとっても宿題を見てやったり、子どもが親よりも遅く登校したり、早く帰ってきたりと戸惑うことばかりです。この壁を乗り越えるには?

“小1の壁”という言葉を聞いたことがありますか?
親がぶつかる保育園と小学校とのギャップ、壁を差します。子どもが小学校に入学した途端、ワーキングマザーにとっては‟上げ膳据え膳“だった保育園時代とガラリと環境が変わり、途惑うことが多いのです。

例えば!
保育園は3月31日までは延長保育も含めて7時以降でも見てくれるところも多いですが、4月1日からはどんなに保育園にお願いしても、小学生を預かってはくれないのです。

しかも!
4月1日はまだ入学式前で学校には入れてくれません。入学式が4月10日だったらその間、行く場所がないのです。

そこで、『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子が乗り超え方をお伝えします。

保育園にはなかったこと

  • 学校の門が開くのは8時過ぎてからで遅い。7時に学校に行くことは許されない。
  • 授業終了は3時前。家に早く帰ってくる。
  • 入学式が始まるまで行く場所がない。
  • 運動会の振替休日や創立記念日など祝祭日以外の休みが意外と多い。
  • 仕事をしている、していないにかかわらずPTAに入り学校の仕事をしなくてはならない。
  • 宿題があり親がみてやらないとならない。
  • あれこれ持ち物を準備しなくてはならない。
  • 先生と話をする機会が激減する。
  • ママ友との交流がなくなる。

特に登校時刻と親の就業開始時刻が合わないため、子どもは年齢を重ねて大きくなり、一人で出来ることが多くなってきているのにも関わらず、小学校に上がるタイミングで仕事を続けられなくなったり、時短勤務をせざるを得ないことが実際に起ります。

こんなことにならないように、今から来るべき小学校生活に向けて準備する必要があるかもしれませんね。

乗り越える策 あれこれ

学校の門が開くのが遅い。7時に学校に行くことは許されない。

ママの勤務先が家の近所とは限りません。電車に乗って片道1時間かかる場合もあります。そうなると9時の出社時刻に合わせて家を8時前には出なくてはなりませんよね。

保育園時代は園は早く開いているため、子どもを送り届けたその足で会社に向かうことが出来ますが、小学校に朝早ーく行くと叱られます。「8時~8時15分の間に登校してください」と時間制限をかけられたりします。

それに備えて下記のようにしましょう。

  • 勤務先に事情を話して子どもが朝一人で家を出ることができるようになるまでは、出社時刻を10時くらいにしてもらう。(パパがこれが可能であればパパにやってもらう)
  • 集団登校の場所まで近所の人にお願いして連れて行ってもらう。

授業終了は3時前。家に早く帰ってくる。

今まで保育園に居た子をいきなり鍵っ子にすることは出来ませんよね。自治体により学童クラブがあります。こちらに申し込み、放課後の居場所を確保しておきましょう。

私の住む世田谷区は全ての公立小学校に学童クラブが設置されています。たとえ私立に行っていても住民票があれば地元の学童クラブに入会できます。18時までいることが出来ますし、夏休みも冬休みもオープンしています。

ただ親の残業などで18時に迎えに行けない場合はその後の時間帯に子どもを預かってくれる民間の有料学童クラブやベビーシッターのような人を確保しておく必要があります。自治体によりファミリーサポートという比較的低料金で子どもの預かりやってくれるサービスもありますので利用してみてはいかがでしょうか。

参考:ファミリーサポートセンター

入学式が始まるまで行く場所がない。

4月1日にはまだ小学校は春休みです。新2年生以上は4月6日くらいから学校が始まっても新一年生の入学式が10日だった場合、1日~9日まで行く場所がなくなります。そんな時も学童クラブは利用できます。魔の10日間の居場所を探しておきましょう。

PTAの役員やクラス委員

保育園は働くママのために子どもを預かり育ててくれます。園の行事を親が全面的にやることはほとんどありません。PTAに入る入らないは実は自由なのですが、現実、全員暗黙の了解の元、会員になり役員がまわってきます。

「あのママは働いているから」「あのママは専業主婦だから」なんて配慮はしてくれません。どこかの学年ではお役が回ってきますから、みんなが過度の負担なく気持ちよくこなせるよう、お互いに協力する姿勢でいましょう。自分が役員にならなくても出来る部分は請け負うなどです。そうすれば、逆の立場にたったとき誰かが助けてくれますよ。

運動会の振替休日や創立記念日など祝祭日以外の休みが意外と多い。

  • 有給休暇を取る(夫婦で交代のスケジュールを立てる)
  • 祖父母や近所の人にお願いする
  • 学童クラブを利用する

インフルエンザが出た場合、学級閉鎖になることもあります。

宿題があり親がみてやらないとならない

4月当初はまたまだ幼児のようなもの。宿題を与えておけば子どもが勝手にやってくれる訳ではありません。名前をまず先に書くとか、問題をやる順番(上の問題から解く、右の問題から解く)など当たり前のことさえわかっていません。

コツを覚えるまでは親がある程度見てやらなくてはなりませんね。仕事で疲れた身体に鞭打って勉強まで見てやるのは大変ですが、小一で躓かせないためにもちょっと頑張ってくださいね。

あれこれ持ち物を準備しなくてはならない。

急に「来週までに墨汁を持ってきてください」「絵具を揃えてください」「鍵盤ハーモニカのホースを用意してください」とお手紙を持って帰ってくることがあります。これを仕事の合間をぬって買い揃えるのは大変です。先輩ママに事前に聞き、時間があるときに買っておきましょう。

先生と話をする機会が激減する。

小学校は子どもだけで登校しますから、参観日や個人面談などの行事はなければ担任と会うことはありません。保育園で毎朝毎夕、顔を合わせて「今日は○○をしました」なんて報告を受けることがなくなるので、学校で一体何をしてきているか知る由がありません。

大切な子どものことです。相談事があった場合は遠慮せずに電話でアポイントをとって自ら出向いたり、連絡ノートやお手紙で親から意識的に連絡をとるようにしましょう。

ママ友との交流がなくなる。

嫌なママ友とも顔を合わせなくて良くなる分、情報が入ってこなくなります。メールやラインの交換をして気の合うママとは連絡を取り合うツールを準備しておきましょう。

小学校に入学して、初めて保育園のありがたみをシミジミ感じる人も多いようです。今から途惑うことのないように準備万端整えておきましょう。


立石美津子(たていし みつこ)

子育て本著者、講演家。聖心女子大卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。自閉症児の母。著書は『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など多数

 立石美津子オフィシャルブログ

アーカイブ