千葉県立市川工業高校視察レポート

2016年09月28日  公開

   安藤じゅん子の気づき インターンレポート


9月16日に、インターン生と一緒に千葉県立市川工業高校を視察しました。
市川工業高校は、ここ数年加速度的に進行している学食廃止の県教委方針とは真逆にある学校です。定時制学食を実施しており、喫食率が70%を超えています。

また、フィリピン留学を行っており、生徒たちは実践的な英語力を身につけることができます。フィリピンからの留学生も受け入れており、サポート体制をもっと充実する必要があるという話を伺いました。

卒業後の進学や就職に関しては、生徒それぞれが持つバックグラウンドを考慮して、バックアップしています。

視察では、課題解決先進高校の気風、気概を感じさせていただきました。
教育現場で生徒指導にあたられている教職員の皆さんの仕事に対する対価を高めていく必要があると感じました。また、工夫と努力と熱意で結果を出し続ける市川工業の教育指導をもっと広く共有すべきであり、教育実績の見える化をすすめ、千葉県の教育全体の改善をはかる必要性を痛感した視察となりました。

一緒に視察した、インターン生の感想を紹介したいと思います。


はじめに

工業高校、というのは今までの人生で関わりがなかった。中学生のころ進路で、工業高校にいくつもりは毛頭なかったし、工業高校の文化祭に行ってみようと思ったこともなかった。今回の学校見学で初めて工業高校にかかわりを持ったのだが、びっくりするほど普通科の課程とは異なっていて面白かった。今回は特に印象に残ったことを残していきたいと思う。

ものづくりで貢献

一番心に残っているのは、インテリア科の実習に伺った時のことだ。インテリア科の実習の教室には生徒が作った家具がたくさんあったのだが、子供向けのものがあった。

東日本大震災の時に、生徒たちが自分たちにできることはないかと考え、幼い子が少し遊べるものをと、カラフルな椅子兼遊具入れや、キッズハウスという子供が遊べる小さなお家を作り被災地の保育園に送ったそうだ。また、近くにある平田保育園とは、園児と一緒に色塗りをしたり、保育園からの要望をきいてちょっとした棚などを作ってあげたりしているそうだ。高校生で被災地や地域の役に立てるようなことをやっていけるなんて素晴らしいことではないだろうか。

工業高校の抱える課題

生徒たちが輝いていた分、校長先生がおっしゃっていた工業高校の抱える課題というのも印象に残った。
千葉県の県立高校の数は132校、そのうち工業高校は4校、工業関連の学科などがあるのは4校、その8校の中で工業を専門とする校長は2人しかいないということだ。

また、千葉県は普通科に進学する生徒の割合は全国で1位だが、工業高校に進学する生徒の割合は全国で一番悪い。これは東京都や埼玉県でも同じような傾向があるそうで首都圏での工業高校の入学者が少ないことが課題だそうだ。工業高校はそもそも受験の選択肢に入っていないということを校長先生はおっしゃっていた。

確かに私も工業高校を受けようなんて思ったことはなかったし、同じような中学生は多いのではないだろうか。
専門とする先生の不足と入学者が増加しないということが工業高校の抱える問題だろう。学校だけでこの課題を解決するのは厳しいだろう。県や市でもできることはないのだろうか。

安藤事務所 村林加奈子(東京女子大学 2年)

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