塩尻市立図書館の取り組みから図書館を考える

塩尻図書館視察 レポート

2016年08月14日  公開

       安藤じゅん子の気づき


長野県のほぼ中央に位置する人口およそ6万7000人の塩尻市。塩尻市には、大学や企業と連携し、真に市民のためのサービスを実施している塩尻市立図書館があります。ここでは塩尻市立図書館の取り組みを紹介したいと思います。

塩尻市立図書館は、平成18年4月に策定された塩尻市立図書館サービス計画に基づいて運営されています。平成22年に塩尻市市民交流センター「えんぱーく」内に移転・開館、市内には8つの分館があり、開架書庫におよそ40万冊の蔵書があります。

市民の声を実践する図書館

「役立つ情報を提供する」をコンセプトとして、図書館資料の有効活用を可能とする資料の配置を実践しています。棚マグネットが利用できるスチール製で、館内のスペースを多目的に活用するために、椅子や机は可動式のタイプを採用しています。

雑誌タイトルは400冊。平成22年の開館以来、市民の声を反映して購入しています。大学の図書館を手本に収納を見直した結果、市民からの不満の声が解消できたそうです。

地域に役立つ市民のための活動拠点として

塩尻市立図書館は、市民の多様な活動に対して、支援できるような機能を備えており、図書館としてだけでなく、市民活動の拠点として利用されています。

3階フロアの壁にはナンバリングされており、壁一面につき1日50円で貸し出しを行っています。市民やプロの芸術家が写真や書道などの作品展示会を気軽に実現できるようになっています。
各階の壁柱には一つだけ、塩尻を始めとした地域にまつわる豆知識がつづられています。宝探し的な要素を取り入れた、図書館の遊び心です。

また、図書館としては珍しく、飲食OKのスペースが確保されています。
このスペースを利用して、「バイオリンと朗読、ワインを楽しむ夕べ」といった企画が継続的に開催されており、塩尻市の文化となりつつあります。

棲み分けを考えた県立図書館と市立図書館の連携

視察では県立図書館の役割についてもうかがいました。
地域に役立つ市立図書館との住み分け、連携を第一に考えていくことが重要であると伊東直登松本大学教授がおっしゃっていました。県立図書館は県立でしかできない役割を果たしつつも、市立図書館が力を発揮することを念頭に、サポートを考えていきたいということでした。

例えば、ビジネスサポートや企業支援、企業コラボにおける民間活力の導入です。
図書館という場を活用して、民間企業と連携しすることで、多くの方が図書館に訪れますを。テーマに関連した書籍の貸し出しが増え、レファレンスが増ると、地域書店への販売機会の増加にもつながります。

博物館や美術館との連動はもちろん、映画館や寄席との企画連動も面白いかもしれません。
地域に役立つ、地域経済に貢献することはこれからの図書館のミッションのひとつです。ミッションを理解し達成できる人材の育成に投資を行うこと、スタートアップメンバーを早期に育てることが、県としての役割、市立図書館をサポートするという仕事につながります。

今回の視察で、図書館が市民の多様な活動の場となり、地域経済にも貢献しうる可能性を見出すことができました。この実りを、千葉県、そして松戸市へ還元すべく活動してまいりたいと思います。

「短歌で!町おこし」に関連した配布資料コーナー。歌人の出身者や塾が立地しており学校教育においても取り入れられています。

「ワインで!町おこし」」に関連した常設資料コーナー。全国のワイナリーから頼られる図書を有することでもその名を知られています。

毎月更新!月替わりテーマコーナー。山登り、男女共同参画、などさまざまなテーマの企画が展示されています。

可動式インテリアを配したセントラルスペース。吹き抜けの開放感ある柔らかな自然光の下でゆったりとした時間が流れる図書空間。ビジネス連携のメインスペースとしても活用されています。

こどもが真ん中!キッズスペース。子育て支援センターも併設されており、子育て世代、子育てに関わる市民の強い味方となっています。

壁柱には、塩尻あるあるなど遊び心いっぱいの仕掛けがあるある。イベントの告知や写真や書道など作品展示スペースです。