災害時に地域住民の避難所となる東京拘置所を視察しました

2016年10月11日  公開

     安藤じゅん子の気づき


この夏に視察した葛飾区の災害対策の視察報告です。

東京拘置所が災害時の避難所として地域に貢献

松戸から北千住へ向かうJR常磐線の左側の窓を見ると、綾瀬駅を過ぎたあたりで東京拘置所を見ることができます。東京拘置所は葛飾区と足立区の区境である小菅1丁目に位置し、20万m2を超える広大な敷地に、述べ床面積約8万m2の12階建ての新舎房(2006年に完成)があります。

地域の方からの要望もあり、平成26年に「大規模災害時における東京拘置所と足立区及び葛飾区との相互協力に関する協定」が結ばれ、大規模災害時には避難所として開放されることになりました。協定は区民及び被収容者等の生命の安全確保のため、必要事項を定めており、1ヶ月の間避難所として使用することができます。(期間が1ヶ月を超える可能性がある場合は改めて協議することになっています。)

東京拘置所の対応としては、災害時の際は被疑者・被告人の確保を第一に優先します。その上で、地域の方々の安全のために避難所として開放することとしています。避難所の運営については自治町会に委託しています。

緊急避難先となる東京拘置所内の施設

震災・火災時
警備訓練場、報道陣駐車場、庁舎1階エントランス、武道場、真北待機所
水害時
庁舎3階研修室、庁舎4階会議室、庁舎12階食堂

視察では、武道場、会議室、食堂などを見てまわりましたが、避難所として十分に適した環境であるといえます。

東京拘置所では避難所として開放するだけでなく、グラウンドなどの一部の施設を地域の方々に開放したり、夏祭りを開いたりするなど地域の方々との交流を盛んに行っています。

拘置所は地域住民からはマイナスなイメージに見られがちですが、東京拘置所の姿勢や活動によって、住民の理解が得られているのではないかと感じました。また、この避難所は東京拘置所という国有施設と区が連携することにより、活用できています。これは千葉県や県内市町村の避難所確保においても大いに参考となる事例といえるでしょう。

避難者カードの充実化、女性視点の防災対策など、いざという時に本当に役立つ取り組み

続いて、葛飾区地域振興部防災課にてお話を伺いました。詳細は割愛しますが、以下のような取り組みについてお話を伺うことができました。

  • 1. 大規模災害時における東京拘置所との相互協定について
  • 2. 小菅一丁目地区のまちづくり
  • 3. 東京拘置所と連携した防災訓練の実施について
  • 4. 相互応援協定を締結している他自治体との共同防災訓練について
  • 5. 避難者カードのフォーマットについて
  • 6. 自主防災組織の組織率について
  • 7. 女性の視点を踏まえた地域防災計画について
  • 8. 特徴的な取り組み

葛飾区では、東京拘置所との相互協力をはじめ、独特の災害対策をおこなっています。先述のように東京拘置所は災害時には避難場所として利用でき、拘置所のある小菅一丁目のまちづくりにおいては、町の住民の声もききながら、拘置所の日常での活用など、拘置所と町が調和できるように工夫しています。また、拘置所と連携した防災訓練も実施されています。

その他に、葛飾区は共同防災訓練も実施する予定であり、被害想定や内容も充実したものになっており、子どもでも防災について関心を深められるようになっています。防災訓練は、実施するのと、しないのでは、大きな差がでるので、充実した訓練はいざという時に必ず役に立つことでしょう。

避難者カードのフォーマットも、名簿の様な避難者カードのほか、チェックリストを作り、書いてもらった避難者カードを有効に使えるようになっています。避難者カードの内容で足りない項目は、事前に記入しておく災害時避難者カードで補っており、介護が必要か、ペットはいるのか、血液型は何型かなど、大切な情報が記入できます。避難者カードを充実させていくことで、災害時の物質の援助に役立ったり、避難者の健康を守ることにつながります。

また、女性視点の防災も重要です。女性でないと分かりにくい困りごとも災害時には存在します。防災に関する組織、イベントに女性が多く参加することは、防災計画をより良くするのに役立ます。
その他、マンホールトイレや、スタンドパイプの訓練など、特徴的な取り組みで地域防災を進めている葛飾区の取り組みを参考にしていきたいと思います。