「涙」で共感力を高める!思いやりや優しさを育むコツ

塾講師Naoの"子どもの力をぐんぐん伸ばすコツ" vol.17

2017年09月12日  公開

   塾講師Naoの“子どもの力をぐんぐん伸ばすコツ” 子育てコラム

涙

「思いやりのある子に育ってほしい」
「誠実に生きてほしい」
「誰かのために一生懸命になれる子に」

未来を担う子どもたちには、相手の気持ちを思いやれる優しさや、損得だけでなく誰かを想って行動する勇気をもって大きくなってほしいですよね。

自分のことばかりを考えるのではなく、相手の気持ちに寄り添う「共感力」は、子ども時代にしっかり身につけてほしい力の一つ。一方で、形やルールがあるわけではない“共感する力”をどうやって教えればいいのか、迷ってしまいますよね。

共感力を高めるヒントは「涙」にあるようです。

今回は、お母さんや子どもたちを対象に「涙の授業」を行い、共感力を高めるプログラムを実践している感涙療法士の吉田英史さんにお話をうかがいました。

「涙活」を取り入れた「涙の授業」とは

「涙活(るいかつ)」とは、能動的に涙を流すことによって心のデトックスを図る活動のこと。

「なみだ先生」こと感涙療法士の吉田先生は、お母さんや子どもたちを対象に涙を使ったワークショップを実践しています。教育現場では、涙を流すことで人を思いやる気持ちを高める授業を行っています。

▲某高校の「総合的な学習の時間」で行われた「涙の授業」

キャリア教育の実践授業で、チームビルディングの一環として実施。グループ活動の結束力を高める目的で行われました。グループに分かれ、どの場面で共感して涙を流したのか、また、その共感した理由を一人ずつ発表します。メンバーそれぞれが抱く共感ポイントを聞くことで、チームの一体感、連帯感が生まれるそうです。

なみだ先生が子どもたちに向けて行うワークショップは、次の5つ。

①泣ける動画の上映

まずは、思う存分泣いて心を柔らかくする時間。泣けたポイントは過去の自分の体験と繋がっていることが多いため、涙のツボは人それぞれです。そのため、家族の温かさや人間の強さ、弱さなどをテーマにした2〜3分の短い動画を複数上映しているそうです。

②泣き言セラピー

涙を流したら、うちにかかえた泣き言を吐き出す時間へ。子どもたちに匿名で泣き言を描いてもらい、それをなみだ先が読み上げます。クラスで泣き言を共有することで、新しい気づきを得たり、なみだ先生からのアドバイスをもらったりします。

③「泣ける話」を考えるワークショップ=「なみだ作文」

読んだ人が涙を流す物語を考えます。話し手となり聴き手となり、涙ストーリーを皆と共有。自分以外の人の気持ちを考えることなく泣かせる話を作ることはできません。考え抜き、フィードバックをもらうことで共感力を高めます。

④涙についてのレクチャー

涙の効用について講義。①と②の内容や意図を、わかりやすく解説します。

⑤涙活タイム

どこで泣けたのか、なぜ泣いたのかをみんなで共有。他人の共感ポイントを知ることで、その人の大切にしている価値観に思いをめぐらせることができます。また、自分の共感ポイントを話すことで、自分の大事にしている価値観に気づくことができます。

 心のデトックスにも

泣き止んだ子どもの顔は、「あんなに泣いていたのは嘘だったの?」と驚くほど晴れ晴れとしていることがありますよね。

感動や共感から湧き上がる“情動の涙”は、脳を緊張やストレスを感じた際の交感神経が優位な状態から、リラックス時の副交感神経が優位な状態へと導きます。その結果、スッキリとした気持ちに切り替わりやすくなります。

感動ストーリーを観て涙を流す「涙活」は、子育てで溜まったイライラや夫へのストレスを改善し、スッキリした気持ちで子どもと向き合えるようになるためにもおすすめです。

 共感力の鍛えるコツ

今回お話をうかがった涙の授業は高校生を対象に行われたものでしたが、家庭での子育てにも応用することができます。

たとえば、同じ映像を観てもお母さんは泣いてしまうのに子どもは笑っている、子どもは泣いているけれどお母さんは……という場面があるのではないでしょうか。

そんなときこそ、共感力を鍛えるチャンス。「なぜ、泣けない?」という疑問から相手に想いを馳せたり、話を聞いたりすることで、涙の裏に隠れたエピソードや想いに気づくことができます。

「どうして泣いているの?」と理解できずにいる子には、「お母さんの目に涙が溢れたのはね……」と話してあげるとよいでしょう。

 最後に

家族の日課の一つに「涙活」を。

親子で涙を流し、その想いを伝え合う習慣をつくることで、日常的に相手の気持ちに寄り添う機会を増やしましょう。「わかるなぁ、その気持ち!」という経験の積み重ねが共感力を高めます。

心のデトックスにもなる涙活を、子ども時代の重要な経験の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。


Nao Kiyota

塾講師ライター。子どもたちがもっと夢中で学べるよう、日々格闘中。美容・健康分野でも執筆活動をしている。

保有資格等
教育系:小学校免許/特別支援学校免許/IEEC TEACHER TRAINING CENTER AND OXFORD UNIVERSITY PRESS Teacher Training Program 2013
心理系:メンタル心理カウンセラー/上級心理カウンセラー
健康系:ダイエットアドバイザー/リンパケアセラピスト

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